ホームヘアカラーは、家で手軽に出来るのでここ数年は人気が出ています。
泡のヘアカラーやブラシに乗せて梳かすだけでクスリが混ざって塗布できたり、必要な分だけ使用できて残った分は次回にも使用できる製品など消費者の利便性を考えたヒット商品が多くありますよね。
しかし、それと同時に髪の毛の傷みに悩む人も増えています。髪の毛の傷みに困るのは本人だけではありません。
美容師も困っています。前回お話ししたムラ染め(傷みムラ)は、縮毛矯正やパーマの難易度を上げてしまうからです。
そこで、ホームヘアカラーの上手なやり方を考えてみました。
はじめに、ヘアカラーの傷みの原因を考えて見ます。
成分的なものとしては、アルカリと過酸化水素が代表的なものです。
技術的なものとしては、ヘアカラーを塗布する場所(毛先や根元)や量や時間でしょう。
このことから考えれば、成分的な傷みはその性質を打ち消す成分の使用で、技術的な傷みには今までのやり方を見直すことで対処するのが良いと思います。
ヘアカラーに限らず、剤は付いたところに付いた量だけダメージを起こすということを基本に考えてみると、ヘアカラーも毛先までカラーがない場合を除いて、新しく伸びた部分(新生毛)を染めるようにするのがダメージを抑えるのに効果的です。
それには、泡タイプやブラシの溝に乗せて梳かすタイプは適さないことがわかります。
どちらのタイプも新生毛の部分だけカラー剤をつけるのは困難です。
メーカーは利便性を訴えるばかりで、デメリットまでわざわざ高いCM費用を払ってまではしませんからね。(トリートメントカラーという言葉なんて誤解を招きそうです。)
髪の毛へのダメージを考えると、狙ったところに塗布しやすい刷毛塗りタイプが有利です。
手順としては、傷んでいる毛先などの前処理から始めます。
プロと違って毛先にカラー剤をつけないで塗布するのは難しいですから、傷みの予防やクスリの減力という意味において必要だと思います。(サロンでも前処理は必要です。特に毛先まで染めるケース)
前処理、中間処理、後処理などありますがサロンのヘアカラーで少し詳しく説明しようと思います。
白髪染めとおしゃれ染めがありますが、製品の説明書にあるように白髪染めは白髪の多い部分の根元からたっぷりと、おしゃれ染めはネープ(襟足のほう)など太くて体温の低い染まりにくい部分から(新生部の長さにより根元約1センチあけて)染め始めます。
このときには出来るだけ以前に染めた部分(既染毛)にヘアカラー剤をつけないようにすることが重要です。
既染毛の部分は、既にカラー歴があるのですから再び塗布すればダメージは足されていきます。白髪染めでは新生部にはたっぷりとカラー剤をつけることが染まりを良くします。
ダメージを減らすには、放置タイム(カラーをつけた後の時間)も重要です。
基本的には、説明書にある時間以上は置かないようにしましょう。
化学反応を利用していますから時間以上置いても傷みは増えますが染まりはそれほど変わらないはずです。
理屈としては、新生毛だけを染め続けることが出来れば髪の毛の傷みはヘアカラー一回分だけになります。(境目の色をなじませるのに軽くコーミングは必要です)
しかし、現実はそうはいきません。特に泡カラー剤やブラシで梳かすタイプは毛先のほうまで薬剤が付いてしまいます。(自分ですればなおさらです)
さらに問題は、毛先の状態です。大抵は退色といって色があせて明るくなっているはずです。毎回毛先まで染めているとダメージも蓄積されて退色も早くなります。
頻繁に(一週間一回とか)白髪染めをしていると毛先が退色するヒマがなくて、黒ずんでいる場合もあります。(ダメージもかなり多いしバランス的にもNGです。カラーは毛先に行くにつれ少し明るくなるのが自然です。)
根元の新生毛は生まれたてで傷みもないですから、カラー剤もしっかり効かせる事が必要です。毛先も退色していれば色を入れねばならないのでカラー剤の塗布は必要です。
ここで、時間差が必要です。毛先は傷んでいるしある程度色も残っているのでカラー剤のついている時間は短時間でよいのです。
最初に根元に塗布してある程度時間を置いて根元に色が入ったら毛先に伸ばして短時間で流すことが必要です。
最初から毛先まで塗布してしまうから、傷みが加速してしまうのです。
シャンプーも出来ればヘアカラー用のものでしっかりと洗って、しっかりと流しましょう。
トリートメントも塗布後は時間を置いてから流します。
ホームヘアカラーでは、サロンのような技術も専用のトリートメントもないので、出来るだけ必要ないところにはカラー剤をつけないことと、時間を守り傷みや染まりに応じた時間差を考えるようにすると良いと思います。
理想はヘアサロンでのプロにお任せするヘアカラーリングですが、時間的にも経済的にも難しい人は、出来るだけ髪の毛に負担をかけないホームヘアカラーを目指しましょう。
われわれ美容師も助かります。次回は、サロンドプラザでしている傷まない工夫を書いていく予定です。