シャンプー剤を薄めて使う?駄目な理由!

シャンプーを薄めて使う人がいます。

汚れを落とす効果の強いシャンプーだと皮脂も落としすぎて髪の毛や頭皮に良くないということで、ならば薄めて使えば効果もちょうど良くなると思ってしまう人もいるようです。

確かに脱脂力の強い界面活性剤を薄めて使えば洗浄力も弱くなりますがそれで良いとは言えないようです。(シャンプーが売れなくなるから・・・嘘です。)

いつも言うことですが、剤はバランスが重要です。

シャンプーもバランスを考えて成分を配合しているはずです。

一般的にはあまり知られていないようですが、シャンプーはイオンコンプレックスという反応を利用しています。

この反応によってすすぎ時の指どおりやキューティクルの浮きによる損傷の低減などを確保しているわけです。

もちろんきめの細かい泡などもダメージの予防に有効です。基本としてアニオン活性剤(汚れ落としの主成分)はキューティクルを浮かして髪の毛どうしの摩擦によるはがれなどのダメージを起こします。

シャンプー剤の反応は、簡単に言うと界面活性剤とポリマーがくっついて皮膜を作り髪の毛の表面を保護することです。

ひところノンシリコンのシャンプーが流行りましたが、その理由としてシリコン(シリコーンですがココではシリコンと表記します)の皮膜が良くないということらしいのですが、代わりにポリマーの皮膜は出来ていたわけです。

しかもすすいだくらいでは簡単に落ちない皮膜です。

コレがないと髪の毛がきしんですすぎづらいはずです。(結局、ノンシリコンだから良い?の意味がわかりません。入れなければ原価は安くなるかも?・・・シリコーンは高い原料です。)

洗濯洗剤や食器洗い洗剤には配合されていないのでコレで洗髪したらかなりきしんですすぎづらいはずです。

洗濯物や食器に皮膜は必要がないからですね。

皮膜ができると言いましたがシャンプー剤を目で見てもそれらしきものを見ることは出来ません。

なぜなら有る一定の条件が揃ったときに出現(析出と言います)するからです。

それは濃度・バランスの変化です。

シャンプー剤は通常は濡らした髪の毛につけるわけでこのときに7倍から10倍くらいに薄まると言います。

このくらいの濃度になった時に皮膜が出来る(析出する)わけです。

この薄まる事によって皮膜のできる(析出する)バランス・範囲は活性剤により違って石鹸系は狭くアミノ酸系と高級アルコール系の混合(多くのアミノ酸系シャンプー剤)は広いそうです。

シャンプー剤の種類によりすすぎの時の感じが違うのは界面活性剤の違いもありますがポリマー(カチオン化セルロース)のカチオン基の数とアニオン活性剤の電荷のバランスによるところも大きいそうです。

ノンシリコンシャンプーでもすすぎ時の指どおりがよいのはポリマー(カチオン化セルロース)のおかげと言うわけです。

さらに言えば油分など配合して有るとそれも一緒に連れて析出するので、より感触が良くなるのです。

アニオン活性剤の希釈で析出するのですが範囲を超えて薄まりすぎるとこうはなりません。

と言うことは脱脂力の強い活性剤を薄めてしまいすぎるとコンプレックスを起こす度合いが少なくなることも有りそうです。汚れ落ちは悪くて感触も悪い状態ですね。

コレがシャンプー剤を薄めて使用するのが良くない理由です。
やっぱり剤はきめられた用法や容量を守ることが一番性能を発揮しやすいようです。

ついでに言うとこのようにアニオン活性剤とカチオン化ポリマーのバランスや配合するシリコンや油分の量、カチオン化度や分子量によって感触は大きく変わるので単純に配合成分の表示・名前を見ただけでそのシャンプーの性質を判断するのは極めてナンセンスで科学的でないといえると思います。

同じ表示成分のシャンプーでも異なるテクスチャーを持つのは、まさに製作者の腕の見せ所なんでしょうね。