シリコンの性質

シリコンについて書いておきます。

一般には、シリコンと呼ばれていますがシリコンはケイ素元素のことで、正しくはシリコーンと呼ばれケイ素siと酸素oが交互に結合して高分子化したものの総称だそうです。

総称ですから、いくつか種類があって化粧品に使用されるのはシリコーン油が主です。

その種類もたくさんあって、ジメチリルシリコーン(ジメチコノールもその中のひとつ、分子量によりサラサラ感からシットリ感と幅広い感触)・揮発性シリコーン(環状の為比較的分子量が小さい)・アミノ変性シリコーン(カチオン化されたヤツ)・ポリエーテル変性シリコーン(界面活性剤がくっついたヤツ)に大きく分けることができます。

一時程、シリコン(便宜上シリコン=シリーコンとします)が、嫌われることはなくなりましたがそれでも誤解されている方もいるようです。

もともとシリコンは、高温や低温、紫外線に強くて変質しにくく、その不活性(毒性が低い)な事からいろいろな分野で利用されています。

ヘアケアにおいては、表面保護としての配合例が多いと思います。

表面保護・表面補修・皮膜・コーティング・疎水力・擬似キューティクル!

言葉の印象はそれぞれですが、みんな同じことです・・・

髪の毛の傷みが進んでくると、ツヤがなくなったり絡みやすくなったり・・・要するに扱いにくくなります。
シリコンは表面を平滑化、滑らかにする効果があるので髪の毛の収まりが良くなるわけです。

外部からの刺激も緩和できます。

ですから、傷んでいる髪の毛にとってシリコンは悪いものではないと言えるでしょう。

シリコンには分子量が大きくなるほど吸着力が増し、アミノ変性シリコーンのようにカチオン化、さらにカチオン度が高いものほど吸着力が増すと言う性質があります。

傷んだ髪の毛ほど吸着させる必要があり、昨今のようにヘアカラー(特にホームカラー)や縮毛矯正が一般化してダメージを受けている髪の毛が多くなっていることから、より吸着性の強いシリコンが使われたりします。

髪の毛の傷みが平均的に増えているわけですが、シャンプー(主にパブリック商品)は高級アルコール系の活性剤が主体ですから、ダメージに対応するには何か成分を配合する必要があるのでしょう。

そこでシリコンを配合して、シャンプー時の指どおりやすすぎ時の指どおりを良くしているのだと思います。

ココで、問題になるのがビルドアップです。

吸着力に着目するあまり、吸着力の強いシリコンを配合し、髪の毛の傷みを進行させないように洗浄力の弱い若しくは弱めた活性剤を使用することで、以前に吸着されたシリコンが積み重なって感触の悪化やパーマのかかりやヘアカラーの染まり具合に影響するものもあったようです。

現在は、少なくとも美容室で扱うブランド品ではそのようなことはないと思います。
ビルドアップするようなシリコンは名のあるメーカーなら使用しないでしょう。

そこでノンシリコンのシャンプーが人気となったわけですが、いままでのシャンプーからシリコンを抜いただけ!?

では、ダメージ対応の解決にはなりません。
シャンプー時の指どおりやすすぎ時のきしみ緩和のためには高分子ポリマー(クオタニウムー10なんか多いです)など配合して対応しているものが多いです。(シリコンがダメでポリマーなら良い?のかは判りません・・・)

シャンプーの活性剤(主剤として多いアニオン活性剤)は、キューティクルをリフトアップさせると言う検証もあるといいますし、その状態で髪がこすれあうとキューティクルは剥がれてダメージしてしまうと言われています。

そうなると何かの保護は必要と言うことになるでしょう。ポリマーであれシリコンであれオイルであれ。

問題は、シャンプーのボトルに書かれている成分を見ただけでは成分名が表記されているだけで、その配合量やカチオン度、もちろん分子量(重合度)などが判らないことです。

つまり、シリコンの成分が表示されているだけでは、まったくもってその性状や機能性をはかり知ることはできないと言うことです。

プロである美容師ならすべて知っていると言うこともないでしょう。まして一般の方はシリコンについて知る由もないと思います。せいぜい表示成分から配合の有無がわかる程度です。

そうなると、うたい文句を信じるか?使用してみて判断するか?

と言うことになるのだと思います。
シリコンは悪でも善でもなく、自分の髪の毛の状態にあったものを使うのがベストなのかなと思います。

シャンプーで書きましたが、洗い流すトリートメントや流さないトリートメントでも同じことです。